エイベックス「虎の子」南青山の本社ビル売却へ

2021-05-10 11:47:56

音楽・映像事業を手がけるエイベックスが東京・南青山の本社ビルを売却する方針を固めたことが、東洋経済の取材で明らかになった。

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売却の対象となったエイベックスビル(記者撮影)

売却の対象となったのは、2017年12月に開業した地上18階建ての「エイベックスビル」。複数の関係者によれば、外資系ファンドを含む複数社を対象に入札を実施し、カナダの不動産ファンドのベントール・グリーンオークが優先交渉権を得たもようだ。

エイベックスはコロナ禍で主力のライブ事業やグッズ・音楽CD販売が低迷し、2020年4~9月決算では32億円の純損失を計上した。11月5日には同社初となる希望退職に踏み切ることを発表し、今年12月中に100人程度の退職者を募集する。虎の子である本社ビルの売却は、業績不振を受けて金融機関が主導したと見られる。

エイベックスは売却後に、ビルを賃借する方針のようだ。本件についてエイベックスは「個別の事案については答えられない」とコメントした。

コロナ禍で進む不動産売却

コロナ禍の影響による業績不振を理由に、保有不動産を放出する企業がここにきて増えている。物件売却に向けた動きを受け、昨年までは土地や建物の価格高騰に難儀していた不動産業界も、出物の少ない好立地の物件が期待できると投資の機会を積極的に模索し始めた。

今年8月には、アパレル大手の三陽商会が東京・銀座の商業ビル「ギンザ・タイムレス・エイト」の売却を発表。売却先はジャスダック上場の不動産会社レーサムだった。業績不振の企業が保有不動産の現金化を進める動きが、今後加速しそうだ。

業績や決算対策のみならず、財務体質強化の名目で遊休資産の放出が進むことも不動産業界の追い風となりそうだ。NECは10月30日、保有資産見直しの一環として相模原事業場を不動産会社大手のヒューリックに売却した。売却価格は非公表だが、連結ベースで約160億円の譲渡益を計上する。売却後もNECはヒューリックから賃借する形で、引き続き事業場を利用する。

燃料商社のシナネンホールディングスも、11月9日に品川区内の土地を売却すると発表。こちらも資産効率の向上および財務体質の改善を理由に挙げる。売却先は非公表だが、オフィスとマンションの開発用地となる予定で、シナネンHDはオフィス棟を賃借し本社として使用する。

海外投資家も日本の不動産に照準

通常、景気後退局面では不動産市況が落ち込むため、売却価格も相場より割安になりがちだ。ところが、足元では不動産に対する金融機関の融資姿勢に大きな変化がなく、海外投資家もコロナ禍の影響が相対的に軽微だった日本の不動産に照準を定めているため、買い叩かれる気配がない。

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JTビルは約800億円で決着(記者撮影)

JTは10月に、東京・虎ノ門の旧本社であるJTビルを住友不動産に売却すると発表した。この売却価格については非公表ながらも、複数の関係者によれば約800億円と見られる。下馬評よりも高い水準で成約に至ったことは、コロナ禍でも不動産投資意欲が落ちていないことを示している。

冒頭のエイベックスビルは自社ビル仕様であり、一般的な賃貸オフィスビルと比較して流動性(売りやすさ)や有効率(延べ床面積のうち賃料が取れる割合)で劣る。坪単価で1500万円前後を目線に交渉が進んでいるという見方もある中、成約価格の行く末は国内の不動産市況を占う試金石となりそうだ。